ある短編小説を読んでいたら、『ぼくは昔、犬に噛まれたことがある。』という表現があった。
その表現を読んでいたら、じぶんの中でバラバラにちらばっていたピースがピシャリとうまくはまったような気がした。
ぼくは犬が好きだ。じぶん自身は犬を飼ったことはないんだけど、可愛い犬を見たら近寄りたくなるし、妻のさとちんの実家は犬(ケンという名前)がいて、ケンに会うのも楽しみだ。
でも、そういえば、犬に触れるとき、いつも思うことがある。
それは、『噛まれないようにしなきゃ。気をつけなきゃ。』だ。
ぼく自身、記憶がある限り、犬に噛まれた覚えはないし、犬を飼っていなかったから親に噛まれるから気をつけなさい。とも教育されたようにも思わない。
でも、『噛まれないようにしなきゃ。気をつけなきゃ。』がぼくの中にあるのだ。
なぜ、いつ、どのようにして、『噛まれないようにしなきゃ。気をつけなきゃ。』は、ぼくの中にやってきたのだろう?
それを、さっき、『ぼくは昔犬に噛まれたことがある。』という表現を読んだら思い出した。
そうだ。
たしか、ぼくが小さいときだか小学生くらいのときに、うちのオカンが手を噛まれたんだ。
ある日、近所のお家に行って帰ってきたオカンが『犬に噛まれた』と言いながら帰ってきた。
その時、こどもながらに『おかあさんはだいじょうぶかなぁ。バイキンがはいっておかあさんがびょうきになったらどうしよう』などと妹とすごく心配したような気がする。
というわけで、今の32歳のぼくの中にある『噛まれないようにしなきゃ。気をつけなきゃ。』の出どころがわかったのである。
と言いながらも、そのオカンが噛まれた記憶にもあまり自信はない。
心理学の本のほとんどには、『人の記憶はひどく曖昧でほとんどが捏造されるか湾曲されている。』とある。
とすると、ぼくのこの記憶も捏造なのかもしれない。
でも、なんだかすごくピシャリとパズルのピースが揃ったような感じがしたから、書いてみた。
なんてことない話を書いた。
なんてことない話なんだけど、今、ネット上は、正しそうな情報とか嘘くさい情報とかであふれてて混乱しているひとが多いから、ホッと一息つけるようなこんな世間話のような”なんてことない話”ってたいせつだと思うんだ。
ネット上でも、現実でもね。
なんてことない話。たわいもない話。してますか???
かわいいねぇ〜。
にっくん。
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